身体の環境を整える「ホメオスタシス」
人間の身体は、常に一定の状態を保つシステムになっています。身体の異常事態に気づいて、元の安定した状態に戻して維持しようとする働きのことを「ホメオスタシス」といいます。
ホメオスタシス (homeostasis)=生体の恒常性
たとえば運動したり、緊張すると心臓がドキドキして血圧が上がりますが、しばらくするとまた元に戻ります。これがホメオスタシスの働きです。
ホメオスタシスの仕組み
①神経系(身体の働きを調整する)
②内分泌系(ホルモン分泌をコントロール)
③免疫系(外部から守る)
これらの3つを「ホメオスタシス」といいます。
このシステムが異常を生じると、さまざまな不調を引き起こして、病気になったりします。
ホメオスタシスにより調節される機能
□血圧
□脈拍
□体温
□呼吸数
□体液バランス
これらの機能を正常範囲に保っています。
①ホメオスタシス・神経系(自律神経)
自律神経とは、自分の意志でコントロール出来ない体の器官を自動的にコントロールしてくれる神経。
交感神経と副交感神経があります。
交感神経は身体の働きを促し、副交感神経は休ませるといった役割を持ち、状況に応じてそれぞれが働くことで、心身を健康に保っています。
例えば心臓、自分の意志で早めたり、止めたり出来ません。運動すれば心臓が早く動いて血流が多くなります。 寒ければ震えて毛穴が縮まります。暑ければ汗をかいて熱を発散します。何か食べれば胃や腸は勝手に動きます。私たちの意志ではないところで働いてくれているのが自律神経です。
このバランスが崩れると
全身の倦怠感、頭痛、肩こり、手足のしびれ、動悸、不整脈、めまい、不眠、気分がふさぐ、のどがつかえる、胸やけがする、胃が痛む、便秘や下痢、耳鳴り、浅い呼吸などさまざまな不調が現れます。
②ホメオスタシス・内分泌系(ホルモン)
内分泌は、ホルモンで、体の健康維持のためいろいろな機能を調節する働きがあります。ホルモンは決まった臓器の決まった細胞で作られ、血液中に分泌され、血液と一緒に全身へ巡ります。現在、体の中には100種類以上のホルモンがあるといわれています。
刺激に応じてホルモンは分泌される(例)
□食事をとり、血糖値があがるとインスリンが分泌され正常な血糖値に戻す。
□ストレスにより副腎皮質ホルモンが増加すると、血糖値が高くなったり、免疫力が低下する。
□身体が冷えると、甲状腺刺激ホルモンの分泌が増加し、甲状腺ホルモンの分泌が促進される。また、甲状腺ホルモンは熱量の産生や糖代謝の促進の他脂質やタンパク質の代謝も促す。
□心地よいストレスは、オキシトシンやセロトニンといった抗ストレスホルモンの分泌を促す。
□筋肉を動かすことで、成長ホルモンの分泌も活発にしてくれます。
③ホメオスタシス・免疫系
免疫とは、異物やストレスに対する防衛反応です。侵入してきた細菌や異物を免疫系がブロックして、私たちの身体を守っています。免疫系は、日頃から身体のあちこちで病気の原因になるものを探しては排除して、身体に一大事が起こったときには、病気の原因となる病原体をやっつけ、健康な身体を維持しています。
免疫系の異常によるアレルギー反応
免疫系の異常による現象のなかで、アレルギー反応があります。通常は無害な異物に対して身体に免疫が過剰に反応し、正常な組織が傷付けられる状態です。花粉症もその一つです。
ホメオスタシスを正常に保つには
人間の身体が正常に働くためには、ホメオスタシスの3つの機能「神経系」「内分泌系」「免疫系」のバランスが整っていることです。どれかが機能低下しても、機能亢進しても健康な身体は維持できません。3つの機能のバランスを保つには、適度な運動、バランスの良い食事、休養・睡眠が鍵となります。